女生徒(十七)

2024-03-15 19:29:3902:31 601
聲音簡介

 あの日は、うちのほうの大掃除だったので、臺所直しさんや、畳屋さんもはいっていて、お母さんも簞笥《たんす》のものを整理して、そのときに、この風呂敷が出て來て、私がもらった。綺麗な女らしい風呂敷。綺麗だから、結ぶのが惜しい。こうして坐って、膝の上にのせて、何度もそっと見てみる。撫でる。電車の中の皆の人にも見てもらいたいけれど、誰も見ない。この可愛い風呂敷を、ただ、ちょっと見つめてさえ下さったら、私は、その人のところへお嫁に行くことにきめてもいい。本能、という言葉につき當ると、泣いてみたくなる。本能の大きさ、私たちの意志では動かせない力、そんなことが、自分の時々のいろんなことから判って來ると、気が狂いそうな気持になる。どうしたらよいのだろうか、とぼんやりなってしまう。否定も肯定もない、ただ、大きな大きなものが、がばと頭からかぶさって來たようなものだ。そして私を自由に引きずりまわしているのだ。引きずられながら満足している気持と、それを悲しい気持で眺めている別の感情と。なぜ私たちは、自分だけで満足し、自分だけを一生愛して行けないのだろう。本能が、私のいままでの感情、理性を喰ってゆくのを見るのは、情ない。ちょっとでも自分を忘れることがあった後は、ただ、がっかりしてしまう。あの自分、この自分にも本能が、はっきりあることを知って來るのは、泣けそうだ。お母さん、お父さんと呼びたくなる。けれども、また、真実というものは、案外、自分が厭だと思っているところに在るのかも知れないのだから、いよいよ情ない。


      那天家里大掃除,所以修理廚房的工人和榻榻米店的人也都來了,媽媽還整理了衣櫥,這張包袱巾就是在那個時候被找出來的,我便要了過來。這是一張漂亮的包袱巾,很有女人味兒。這么漂亮,如果打結系起來的話就可惜了。我就這么坐著,把它放在膝蓋上,悄悄地看了又看。撫摸著它。很想請電車里的這些人都看一看它,但是誰都沒看。如果有人能夠看看這張可愛的包袱巾,哪怕只是稍微看上一眼,那么讓我嫁給那個人都沒問題。一想到“本能”這個詞,我就想要哭出來。本能的作用何其大,它的力量是我們的意志所無法改變的。當每每從自身經歷的各種事情中感受到這一點時,就會覺得自己快要瘋了。該怎么做才好呢?一臉茫然。不是否定或肯定的問題,而是一件龐然大物猛地迎頭蓋壓下來,是這樣的感覺。然后,隨意地拽著我到處轉來轉去。我任由其拖著,心里滿足的同時還有另外一種感情存在,覺得自己正帶著一種悲哀的情緒望著這一切。為什么我們不能僅靠自己就獲得滿足呢?為什么我們不能一輩子只愛自己呢?看著本能逐漸吞噬我既有的感情和理性,真是難受。在片刻地忘掉自己之后,剩下的只有沮喪。在這個自己或那個自己之中都有本能明確地存在著,漸漸明白這一點后忍不住想哭。想喊媽媽,想喊爸爸??墒?,又或者真實正出乎意料地存在于自己覺得討厭的那些地方,這樣一想更加覺得難為情。

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蓮宸

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